ある日の出来事

10年前の実話

10年ほど前、得意先から「3年前に修正した金型の対応内容を教えてほしい」という問い合わせが入りました。当時は紙台帳。ファイルを引っ張り出してページをめくるも、すぐに見つからない。

「後ほど折り返します」

その一言を言わざるを得ませんでした。

「後ほど折り返します」が続くと、顧客の信頼は少しずつ下がっていきます。

これはExcelにしても、状況はさほど変わりません。ファイルがどのフォルダにあるか、どのファイルが最新か。結局「情報を探す」という手間は変わらないのです。


「うちはExcelで十分」は本当か

Excelは便利です。誰でも使えて、コストもかからない。ただ、5年経つとこうなります。

  • ファイルが複数に分かれて、どれが最新かわからない
  • 担当者が変わるたびに列の構成が変わる
  • 情報が「担当者のPCのフォルダ」「共有サーバーの奥深く」「倉庫の紙」に散らばる
  • ベテランが辞めた途端、ルールも経緯も誰もわからなくなる
属人化は、気づいたときには手遅れになっていることがあります。

私たちがたどり着いた答え——金型カルテ

Excelの限界を感じ始めた私たちが選んだのは、「金型カルテ」という考え方でした。

医療現場の「カルテ」と同じ発想です。その金型に関するすべての情報——仕様・修正履歴・図面・不具合記録——を一つのデータベースに集約し、金型ごとに「カルテ」として参照できるようにする。

カルテを開けば、その金型のことが網羅的にわかる。誰でも、すぐに。

このシステムは市販のパッケージではなく、自社で開発しました。現場の声を直接反映できる、自分たちの使い方に合った仕組みにするためです。

実際に変わったこと:

  • 「どこに情報があるか」を探す手間がなくなった
  • 担当者が変わっても、引き継ぎがスムーズになった
  • 得意先からの問い合わせに、その場で答えられるようになった

Excelの「隠れコスト」を計算してみてください

「システムを入れるとお金がかかる」と思われがちですが、Excelで管理し続けることにも見えないコストがかかっています。

まず一つだけ試してみてください。

「今、金型の情報を調べるのに何分かかるか」を計測する。
その時間が月に積み上がるとどのくらいになるか——それが「見えていなかったコスト」の正体です。